マスカレード・シリーズはどの順番で読むか
映画で『マスカレード・ホテル』を観て、原作も読んでみようと思った人は多いはずです。 ところが書店に行くと、『ナイト』『ゲーム』『イブ』『ライフ』と似た書名が並んでいます。 背表紙に巻数はありません。 しかも『イブ』だけは、版元の紹介でも文庫として案内されています。 どこから手を付ければいいのか、迷うのは当然です。
結論から書きます。版元の集英社が「第1作」から「第5作」まで番号を振っているので、迷ったらその順で読めば外しません。 そのうえで、少しだけ迷いどころになる『マスカレード・イブ』の扱いを説明します。
版元が付けている番号
2025年、第5作の発売に合わせて集英社が出したお知らせでは、シリーズ5作に次の番号が付いています。
| 番号 | 書名 | 発売 | 形 | 版元の紹介から分かること |
|---|---|---|---|---|
| 第1作 | マスカレード・ホテル | 2011年9月 | 単行本 | 若き刑事・新田がホテルに潜入する |
| 第2作 | マスカレード・イブ | 2014年8月 | 文庫 | 二人が出会う前を描く、4話の連作短編 |
| 第3作 | マスカレード・ナイト | 2017年9月 | 単行本 | 舞台はホテルのカウントダウンパーティ |
| 第4作 | マスカレード・ゲーム | 2022年4月 | 単行本 | 新田は警部になっている |
| 第5作 | マスカレード・ライフ | 2025年7月 | 単行本 | 新田は警視庁を辞め、ホテルの保安課長に |
番号は刊行順と一致しています。 そして紹介文を並べると、刑事の新田浩介の立場が番号順に変わっていくことが分かります。 若い刑事として潜入した人物が、やがて警部になり、第5作では警察を離れてホテルの側に立っています。 1冊ごとに事件は起きて片付きますが、主人公の経歴は前に進む作りです。 後の巻から先に読むと、この変化を逆向きにたどることになります。
マスカレード・ホテル
マスカレード・ナイト
マスカレード・ゲーム数え方が2通りある理由
ひとつ注意があります。 集英社の『マスカレード・ナイト』の紹介ページには「シリーズ第二弾」と書かれています。 上の表では第3作です。どちらかが間違っているわけではありません。
『ナイト』の紹介文は、単行本の長編だけを数えています。 2025年のお知らせは、文庫で出た短編集『イブ』を含めて数えています。 単行本の新刊の並びで探すと、『イブ』は見落とすかもしれません。 店頭で「4冊しかない」と思ったら、文庫の棚も探してください。
『イブ』は1冊目にしないほうがいい
『イブ』は、ホテルウーマンの山岸尚美と刑事の新田が出会う前の、それぞれの話です。 時系列だけで並べれば、『ホテル』より前に来ます。 それでも、最初の1冊にするのは勧めません。
理由は二つあります。 一つ目は、この本の面白さが「この二人が後で組む」と知っていることに支えられている点です。 二人は別々の場所で、別々の仕事をしています。 版元の紹介文も、客の仮面を守る彼女と、犯人の仮面を暴く彼を対にして書いています。 二人が後で組むと知っているほうが、この対比は効いてくるはずだと考えます。
二つ目は、版元自身が刊行順に番号を振っている点です。 シリーズの入り口として想定されているのは、第1作の『ホテル』だと考えるのが自然です。
というわけで、おすすめは**番号どおり『ホテル』→『イブ』→『ナイト』→『ゲーム』→『ライフ』**です。 『イブ』を後回しにして長編を先に追っても大きな問題はないと思いますが、 少なくとも『ホテル』より先には置かないほうがいいでしょう。
途中から入る人へ
当サイトでは、作品ページに「単独で読めるか」という項目を設けています。 『マスカレード・ホテル』は「単独で完結」としました。 『マスカレード・ナイト』と『マスカレード・ゲーム』は「前提あり」です。 事件そのものはその巻で追えますが、新田と山岸の関係は前の巻を受けて書かれています。 二人のやり取りを楽しむなら、前の巻を知っていたほうが得をします。
なお『イブ』と『ライフ』は、まだ当サイトに作品ページがありません。 単独で読めるかどうかは、ここでは判定していません。
映画から入った人にも、同じ順番を勧めます。 集英社のお知らせによると、映画になったのは第1作と第3作です。 映画で筋を知っていても、原作の『ホテル』から入れば、映画化された2作の間にある『イブ』をちょうどいい位置で挟めます。
まとめ
- 迷ったら、集英社の番号どおり第1作『ホテル』から第5作『ライフ』まで
- 『ナイト』の紹介ページの「第二弾」は長編だけの数え方。短編集『イブ』を含めると第3作
- 『イブ』は二人が出会う前の話。時系列では最初だが、1冊目には向かない
- 途中の巻から入ると、新田の立場の変化と二人の関係を逆向きにたどることになる
番号が振られたシリーズの読み方は、加賀恭一郎シリーズはどの順番で読むか でも書きました。 刑事が主人公の本をほかにも探したい人は、警察小説 の一覧を見てください。
出典
- シリーズ5作の番号(第1作『ホテル』、第2作『イブ』、第3作『ナイト』、第4作『ゲーム』、第5作『ライフ』)、『イブ』が二人の出会う前を描く4話の連作短編であること、第1作の新田が「若き刑事」と紹介されていること、第1作と第3作の映画化、シリーズ累計500万部突破(2025年の発表時点):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000732.000011454.html
- 『マスカレード・ホテル』の発売日(2011年9月9日)、四六判、紹介文(コルテシア東京での潜入捜査):https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771414-2
- 『マスカレード・イブ』の発売日(2014年8月21日)、集英社文庫、紹介文(出会う前のそれぞれの物語、連作短編):https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-745216-7
- 『マスカレード・ナイト』の発売日(2017年9月15日)、四六判、紹介文に「シリーズ第二弾」とあること、カウントダウンパーティ:https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-775438-4
- 『マスカレード・ゲーム』の発売日(2022年4月20日)、四六判、紹介文の「警部となった新田浩介」:https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-775461-2
- 『マスカレード・ライフ』の発売日(2025年7月30日)、四六判、紹介文の「警視庁を辞め、コルテシア東京の保安課長となった」新田:https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-775473-5
- 当サイトの作品ページで『ホテル』を「単独で完結」、『ナイト』を「前提あり」としていること:https://yomistery.com/books/higashino-keigo/b754384/
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